kansetu.

関節の痛みを紐解き、動く力を支える。

ニュース

Biospliceの変形性膝関節症治療薬ロレシビビント(lorecivivint)、英国MHRAが審査を開始

膝のこわばりや痛みで、正座を避けたり階段の昇り降りをためらったりしていませんか。実は、Longevity.Technologyの報道によれば、米国のBiosplice…

Biospliceの変形性膝関節症治療薬ロレシビビント(lorecivivint)、英国MHRAが審査を開始

膝のこわばりや痛みで、正座を避けたり階段の昇り降りをためらったりしていませんか。実は、Longevity.Technologyの報道によれば、米国のBiosplice Therapeuticsが開発中の疾患修飾薬候補「ロシビビント(lorecivivint)」について、英国の医薬品・医療製品規制庁(MHRA)に製造販売承認申請が受理され、正式な審査プロセスに入ったことが報じられました。関節内に投与して軟骨の減少そのものを抑えるという、これまでにないアプローチとして注目されているんですよ。診察室にいらっしゃる患者さんから「軟骨がこれ以上減らない方法があれば知りたい」という声をよくいただくのですが、その願いにいつか応えられるかもしれない。そう思わせてくれるニュースです。

「軟骨を守る」という新しい発想

変形性膝関節症は、膝の軟骨が少しずつすり減り、その結果として関節内に炎症が起きて痛みや腫れ、可動域の制限につながる、という流れで進行していきますよね。洗濯物を干すときに片脚立ちがつらい、バスから降りる一瞬に痛みが走る、といった日常生活の小さなつまずきが、実はこの病気のサインであることも少なくありません。これまでの治療は、痛みを和らげる鎮痛薬や関節内へのヒアルロン酸注射、そして最終的な選択肢としての人工関節置換術といった「痛み」や「動きにくさ」への対処が中心でした。軟骨そのものを守ったり、減らさないようにしたりするという発想は、長年、なかなか難しいとされてきたのが実情です。ロシビビントが分類される「疾患修飾薬(DMOAD:Disease-Modifying Osteoarthritis Drug)」という考え方は、まさにこの軟骨の減少そのものに対処しようという新しいカテゴリの治療薬。関節内に直接投与することで、軟骨の分解を抑え、病気の進行そのものを遅らせることを目指している、というのが大きな特徴なんですよね。今までの治療とは根本的に違うアプローチとして世界的に関心を集めており、これまでは「進行を遅らせるのは難しい」とお伝えすることが多かった私たち保存療法を軸とする整形外科医にとっても、待望の方向性と言えます。

審査中という位置づけを知っておく

ここでまず落ち着いて受け止めたいのは、英国MHRAによる審査が始まったというのは「承認」への第一歩であって、まだ治療として日常診療で使える段階ではない、という点です。日本国内で私たちが今すぐ受けられる治療ではありませんし、英国で承認されたとしても、それがすぐに日本の保険診療で使えるようになるかどうかも、現時点では何とも言えません。さらに、審査にはある程度の時間がかかることも想定しておく必要があります。ただ、海外ではこうした「軟骨を守る治療」が少しずつ現実のものになろうとしている、という動きを知っておくこと自体には意味があると思います。例えばご家族が海外にお住まいの方や、将来に向けて治療の選択肢を広く知っておきたい方にとっては、「注射一本で軟骨の減少を抑えられるかもしれない」というニュースそのものが、大きな希望になるのではないでしょうか。膝の痛みを長い間あきらめずに付き合ってきた方にとって、その可能性の重みは、想像に難しくないですよね。今の段階でできるのは、信頼できる医療情報を落ち着いて見守る姿勢だと、私は考えています。気になる症状があれば、まずはいつもの主治医に率直に相談してみるのが、結果的に遠回りにならない近道ですよ。

今すぐできる「膝に優しい」一歩

新しい薬の審査結果を待つ間も、膝に良い影響をもたらす習慣は、実はすでに多くの研究で裏づけられています。例えば、太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)を意識した軽いスクワットやウォーキング時の正しい姿勢の見直し、そして適正体重の維持。これらはどれも、関節への負荷を和らげ、軟骨への負担を減らす基本中の基本です。診察室ではよく「階段の昇り降りで膝が不安定」というご相談を受けるのですが、そんな方には手すりを持つこと、片足にばかり体重をかけないこと、椅子から立ち上がる時は軽く手すりに触れること、という小さな工夫をお伝えしています。また、O脚気味の方は膝の内側に負担が偏りやすいので、歩くときに膝頭が靴の先と同じ方向を向くよう意識するだけでも、軟骨への負荷が分散されやすくなりますよ。ほんの些細なことに見えるかもしれませんが、こうした日常の積み重ねが、薬だけに頼らない「本物の膝の強さ」を育んでくれるんです。審査の行方はまだ分かりませんが、薬に負けない今日の一歩を、ぜひ膝に優しい動作から始めてみてくださいね。朝の起き上がり一歩目から、少しずつ変わっていきますよ。

関連記事: 変形性膝関節症の治療選択肢|薬物・注射・手術の効果と負担を基準で比較.