【画像】膝のための“急な減量”は逆効果? 『変形性膝関節症』でやってはいけないことを医師が解説 4/6
膝のために体重を落としたい——そう思って急に食事制限を始めたのに、かえって膝の調子がひどくなった、というご相談をときどきいただきます。…

メディカルドックの記事で、樋口整形外科 人工関節クリニック院長の樋口先生が、変形性膝関節症の患者さんに多い「やってはいけない行動」について解説しています。減量の方向性そのものが間違っているわけではないのですが、「落とし方」を間違えると、膝を支える力まで弱めてしまう可能性があるのだそうです。保存療法を基本とする立場から、その理由と、今日から膝と付き合っていくためのヒントを一緒に見ていきましょう。
なぜ「急な減量」が膝に逆効果になるのか
まず前提として、体重と膝の負担は密接に関係しています。記事でも触れられていましたが、歩行時に体重が1kg増えると、膝や股関節への負荷は約3kg増えるといわれています。階段や坂道ではさらに大きくなるので、体重管理が大切だという点は揺るぎません。
問題はその「やり方」です。樋口先生によれば、急激な減量や極端な食事制限は筋肉量を一緒に減らしてしまい、膝を支える力を弱める原因になるのだそうです。膝は軟骨だけで成り立っているわけではなく、太ももの前面にある大腿四頭筋が安定性を保っています。その筋肉が痩せると関節が不安定になり、炎症や痛みが悪化しやすくなる——つまり「痩せたいのに膝が悪くなる」という、本末転倒の悪循環に陥りやすいのです。
ここで大事なのは、「減量=悪い」ではなく、「急激な減量=危ない」という点です。適切な食事と無理のない運動を組み合わせて、筋力を保ちながら体重を落としていく——これが長く続けるコツだと先生は話しています。
変形性膝関節症のサインを見逃さない
変形性膝関節症は、膝の軟骨や半月板がすり減り、関節の中で炎症が起こることで痛みや変形が生じる病気です。加齢が主な原因ですが、体重増加や筋力低下、O脚、過去の半月板や靱帯のケガなどが重なると進行を早めます。中高年以降の女性に多い傾向があるものの、けがの経験がある人では若い年齢でも進むことがあります。
初期に多いのは「動き始めの痛み」です。朝起きて最初の一歩が踏み出しにくい、椅子から立ち上がる時に膝がこわばる、階段を下りる時に痛みが走る——こうした経験はありませんか。少し動いているうちに楽になることが多いため、「年のせいだから」と受診を先延ばしにしてしまう方も少なくありません。
進行すると、安静時や夜間にも痛みが出るようになり、膝に水がたまったり、完全に伸びきらない、O脚が目立つといった変化が現れます。中には、膝をかばうあまり腰や股関節まで痛くなり、負の連鎖につながるケースもあります。
セルフチェックとしては、「正座がしにくい」「しゃがむのがつらい」「膝のこわばりが続いている」このあたりが目安になります。気になる方は、整形外科でX線やMRIを受け、自分の膝が今どのような状態なのかを正しく知ることから始めてみてください。
保存療法を軸にした、今日からできる膝との付き合い方
治療の基本は保存療法です。樋口先生は、薬や注射(痛み止め、湿布、ヒアルロン酸の関節内注射など)で痛みを和らげながら、体重管理、運動療法、生活動作の工夫、インソールやサポーターなどの装具療法を組み合わせていくのが基本だと話しています。PRP療法など再生医療と呼ばれる選択肢もありますが、これらは自費診療で、誰でも受けられるわけではないという前提は知っておくと安心です。
運動については、大腿四頭筋を鍛えるトレーニングが中心になります。具体的には、椅子に座ったまま膝を伸ばす運動、仰向けで脚をゆっくり上げる運動など、膝に大きな負担をかけずにできる方法が基本です。痛みが強い日は無理をせず、水中歩行や自転車こぎのように、体重の負荷を減らしながら行える運動に切り替えるのも一つの手段です。
生活の中では、正座や深いしゃがみ込み、長時間の階段昇降は膝への負担が大きいとされています。床に座る生活よりも、椅子やベッド中心の生活を選ぶと負担が減りやすいでしょう。外出時には痛みのある側と反対の手に杖を持つ、クッション性があり足に合った靴を選ぶ——こうした小さな工夫が積み重なっていきます。
そして何より大切なのは、定期的なチェックです。少なくとも半年から1年に1回は整形外科で診察を受け、筋肉が細くなっていないか、画像所見が悪化していないかを主治医と一緒に確認していくのが望ましい、と樋口先生は話しています。保存療法を続けても痛みが強く、日常生活に支障が出るような場合には、骨切り術や人工膝関節置換術といった手術が選択肢になります。ただし、それは「最後の手段」ではなく「タイミングを選ぶ治療」です。
膝のことで「まだ大丈夫」と思っている方も、今の状態を知ることこそが、今日できる一番小さな一歩です。まずは一度、自分の膝と丁寧に向き合ってみてくださいね。
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